現代では化学染料が一般的で、草木で染める天然染料の商品は意識的に選ばない限り手に入れることが難しくなってしまいました。
しかし、自然環境や人体への影響が指摘されるようになり天然染料の良さも再び見直されています。
天然染料が一概に善とも言えないですが、優しい色合いは化学染料にはなかなか出せない素敵な色です。
身近な草木を見直すきっかけにもなると思うので、興味をもってもらえたら嬉しいです。
色のはじまりといわれているもの
色のはじまりって聞いたことないかも
古代日本では4つの色が認識されていました。それらは光から派生して、日々の生活で見られる現象でした。
アカ、クロ、シロ、アオです。
アカは「明」夜が明けだんだんと空が赤くなっていく様子です。ご来光などと同じ語源「あかし(明るい)」と言われています。
クロは「暗」太陽がすっかり沈んでしまった様子です。語源は「暗し」
シロは「顕」または「素」。夜が明けてきて辺りがはっきりと見える様子の「顕し」。または色が素のまま。真っ白ではなく漂白してないような色をさしていたようです。
アオは「漠」明と暗の中間が語源。しかし、アオは先の3色以外を指していたとの話も見たことがあります。
古代の染色はいつはじまったのか?
いったいいつからヒトは染色をし始めたのだろうか?
人類がいつ頃から染色をはじめたのかははっきりと分からないようです。
というのも、繊維は残りにくいというのがその原因の一つです。
しかし、最も古い染まった繊維が出土した年代は3万年以上も前のものだそうです。
日本ではなく海外ですが、ジョージアのジュジュアナ洞窟からはたくさんの亜麻の繊維が見つかり、その中に色付けされたものもあったということです。
そして、なにかの拍子に色がついたことから色づけが始まったのではないかと言われています。
確かに、コーヒーをこぼしたら茶色く染まりますしケチャップがついたら赤くなってとれなくなることは日々私たちにもあるので納得ですね。
装いに取り入れられた草木染め
素材の色を活かした服もいいけれど、服装に色を取り入れるようになったのはどうしてだろうか
昔の人たちは、自らに色を取り入れる(身に付ける)ことによって自然と同化するという気持ちがあったようです。
それらは人間も自然の一部という、古代からある自然への畏敬の念とも言えるものでした。
化学染料のはじまり
化学染料は比較的最近取り入れられるようになったって聞いたな
化学染料は天然染料に比べて安価で、色落ちが少なく、長期保存も可能な上に染め上がりの色も安定しています。
これらのことから現代では化学染料が一般的ですが、そのはじまりは染料とは関係ないところでした。
1856年に、ヨーロッパで広がり始めたマラリアの予防と治療に使うキニーネ(キナの樹皮から抽出される薬効成分)を合成するために実験していた途中で、偶然できた沈殿物が染料になることに気がついた化学者がいたことからだったそうです。
紫という昔から重宝された色だったため、その染料生産は大成功し、化学染料が広まっていきました。
草木染めの大まかな流れ
- 洗った草木を細かく刻む
- 草木と水を入れて沸騰させる
- その後10分くらい煮る
- 火を止めて草木のみ取り出す
- 染めたい布や糸を入れて弱火で10分くらい煮る
- 軽くしぼってから媒染剤につける
- 水洗いする
- 日陰で干す
草木の量の目安は乾燥なしでそのまま使うときは染めたいものの重さと同量くらい、
乾燥させた草木を使うときは染めたいものの重さの30%くらいが目安です。
布や糸の種類により染まりやすさが変わる
きれいに染めるための準備があるんだって
そのまま染めようとした場合、染まりやすさは布や糸の種類により変わります。
きちんとした準備をすることできれいに染まりやすくなります。
それぞれの染料によりやり方が異なるので一概ではありませんが、流れはこんな感じです。
年間を通して、染めるための草木がとれる時期が違うので草木染めはそんなところも楽しいです。
難しく考える必要はないので、興味を持たれたらぜひ挑戦してみてください!