草木染めのやり方
草木染めはその優しい色合いや、植物由来の染めかたから再注目されています。昔は全て草木染めと呼ばれる手法で衣服を染めていましたが、化学染料の発明により身の回りのものは化学染料で染められているものがほとんどとなりました。
草木染めはきちんとやろうとすると手間がかかりますが、身の回りの小物からであれば自宅でも簡単にできます。
まずは一枚のTシャツやハンカチ、ストールやバッグなどからはじめて見ませんか?意外と簡単にできるなと思われるのではないでしょうか。
またお子様の自宅学習としても草木で染めたり色水をつくるというのは人気があります。身近な草木の名前を調べながら一緒に材料集めからやってみると楽しい時間が過ごせますよ。
それでは草木染めのやり方のご紹介です。大まかな手順として5工程あります。
- 植物など色の素になるものを集める
- 染めるもの(布や糸など)を準備する
- 色の素になるものから染料をつくる
- 媒染剤(色の発色や長持ちさせるためのもの)をつくる
- 染める作業(染色・媒染)
植物など色の素になるものを集める
まずは色の素になるものを集めます。集める量の目安としてはとってきた植物や葉、そのままであれば染めたい物と同量か少し多いくらいがおすすめです。近くの道路や家の庭の雑草などに生えている植物であれば入手も簡単です。
きれいな色の花びらがあってそれで染めたいと思いついた場合は大量に必要となります。花びらのみ(雌しべや雄しべ萼は使えません。色の濁りにつながります。)を集めるのですが、その量は染めたい物の300%〜です。染める方法によっては150%くらいからでもできますが、あまり濃くならない気がしています。
また、乾燥している木の幹や枝、木の実は染めたい物の50%くらい〜の量が必要です。
染めるものを準備する
Tシャツ、糸、ストール、和紙などなんでもいいですが素材と色に注意が必要です。白いものの方が染めたときに色が分かりやすいです。例えば無漂白の天然綿の糸は色が少し分かりにくくなります。
また、天然繊維以外のものは染まりにくい傾向があります。
染まりにくい素材は下準備をして染めやすくする
コットンやリネンなどはそのまま染めても染まりにくい素材です。そこで、無調整豆乳で下準備をするとよく染まるようになります。
他にも豆汁、膠の利用方法もありますが家庭では入手もてまひまも考えると無調整豆乳がおすすめです。
- 布や糸などを軽く洗って絞っておきます
- 布や糸が浸るくらいの豆乳を入れます
- 5分以上揉み込みます
- 時々混ぜて豆乳が行き渡るようにしながら15分〜待ちます
- 洗わないでそのまま絞ります
- 広げて干します(平にして干すときれいです。)
ここでまんべんなく豆乳が染み込むようにしないと後から染めムラの原因となります。また、急いでいる時など最後に干さなくてもできますが、干したほうが濃くきれいに染まりやすいです。
色の素になるものから染料をつくる
材料によって少し違うこともありますが、基本の方法はこちらです。
材料は集めるところにあるそれぞれの量ですが、水の量は布が十分に浸かる量を入れます。
- 材料と水を鍋に入れ火にかける
- 沸騰したら弱火にして約15分〜20分煮出す
- 火を止めて材料を取り出す
花びらは煮染め方法が少し違います
花びらは煮出す時間を短くします。
- 材料と水を鍋に入れ火にかける
- 沸騰したら弱火にして約5分〜8分ほど煮出す
- 火を止めて材料を取り出す
また、花びらは酢で染料をつくる方法もあります(酢染め)。
媒染液をつくる
媒染液にはいくつか種類があります。主なものは銅、鉄、アルミニウムです。媒染液は色の定着と発色をよくする役割があります。
銅の媒染剤も鉄の媒染剤も自分で作ることもできますが時間がかかります(数週間〜)ので、特にはじめのうちは購入することをおすすめします。手芸洋品店や、amazon、楽天などで販売されています。
もうひとつはミョウバンを使う方法です。ミョウバンといえばどこにでも売れていてナスなどの漬物の色止めに使用します。これを溶かすだけで媒染液になります。一番手頃だと思います。
- 鍋にミョウバンを入れる(染める布の重さの10%くらい)
- 鍋に1ℓ程度の水を入れてミョウバンを溶かして火を止める
- 同じ鍋(もしくは大きなバケツやたらいに移してもOK)にさらに水を2ℓほど入れて混ぜる
しかし、それぞれの媒染液によって色味が変わりますので、どのような色にしたいかにより選ぶ必要があります。
染める作業
ここからは実際に染める作業になります。布や糸の素材がコットン・リネンの場合には先に媒染液による媒染の作業をすることもあります。
- 先に媒染液に浸ける場合はここで15分くらいよく染み込むように広げたり上下を返したりしながら待つ(15分たったら軽く絞っておく)
- 媒染液に先に浸けない場合はここで準備した布や糸などを軽く水洗いして絞っておく
- 下処理をした布や糸などを染色液に浸す
- 火をつけてゆっくり動かしながら15分〜20分煮る
- 軽く水分をきって媒染液に20分ほど浸す
- もう一度染色液に浸して火をつける
- 沸騰しないくらいで火を止め冷めるまで待つ
- 水洗いして干す
草木染めで濃く染めたいときは?
濃く染めたい時は媒染剤を濃くしたり、何回か染色液に浸すとよいです。
また、最初に下準備として行う、豆乳につける回数を増やす方法もあります。
草木染めの材料はこちら
草木染めは特別な材料はほぼ必要ありません。ミョウバンを使用する場合は自宅の台所にあるものでも十分です。
気になる場合やこれから何回も草木染めをするという場合は、専用の用具を準備してもいいと思いますが、それらも特別なものである必要はありません。
台所にあるようなもので草木染めはできる
あったほうがいいものはこちらです。
- 鍋(ホーローやステンレスのもの)
- バケツ(染めるものが多い時や大きなものの時に必要です)
- ざるやネット(水切りネットや玉ねぎなどが入っている収穫袋もおすすめです)
- ボウル(できるだけ大きめのもの)
- ゴム手袋(熱いものを触ったり、色がつくものを触ることが多いため)
- 菜箸(個人的にはシリコンがおすすめ)
- 計量カップ
- はかり
- 無調整豆乳
- 酢や焼きミョウバン
- 染めるもの(布や糸、カバン、ストール、Tシャツなど)
染めるものは植物繊維と動物繊維、化学繊維にわかれます
染めるものはコットン(綿)・リネン(麻)・絹などの植物繊維か、ウール(毛)などの動物繊維がおすすめです。
ポリエステルなどの化学繊維は、高温で圧力をかけて色素を入れ込まないと染まらないため家庭では難しい素材です。
染める時には染めたいものが何からできているかの確認が必要です。
草木染め初心者におすすめの身近な材料
草木染め初心者におすすめなのは身近にあるものです。例えば台所調理ででた野菜の捨てるような部分や大量に落ちている木の実や花びら、伐採した木の枝などでも草木染めができます。
また、昔読んだ本には海外で会社の同僚が黄ばんできたカーテンを持ち帰って紅茶で染めてきたという話がありました。
こんな感じでごく身近な捨てるようなものでも草木染めはできます。さらには古くなってしまったものがもう一度生まれ変わると思ったら草木染めってなんだかいいものだなと思います。
<草木染めにおすすめの材料例>
- 玉ねぎの皮
- みかんの皮
- ナスの皮
- 赤しそ
- よもぎ
- アボカド
- コーヒー
- セイタカアワダチソウ
- ヒメジョオン
- サザンカ
お手入れ方法を知って草木染めした衣服を長く使おう
せっかく草木染めしたのだから長く使えるといいなと思いますよね。
使っているとどうしても汚れてしまったり、身につけるものは洗濯も度々しないといけないと思います。そんな時には少しの手間で長持ちの度合いが変わります。
- 洗濯を中性洗剤でする
- アイロンをするなら当て布をする
- できたらぬるま湯で手洗いする
- 陰干しする
全部は難しいかもしれませんが、丁寧に扱うことが長持ちの秘訣です。
草木染めが色あせしてきたら
仮にジャブジャブと洗ったりして草木染めが色あせしてきても再度染め直したら大丈夫です。
実際私もセイタカアワダチソウで黄色く染めたお弁当バッグが時間も経って色あせてしまったので、上からサザンカのピンク色に染めなおしました。
草木染めは同じ色で染めてもいいですし、違う色の重ね染めもまた楽しいです。
自分で染めるということは次もまた自分の好きな色に染め直しでき、結果として長く大切に使うことができます。実はセリアで100円で購入したバッグだったのですが、お気に入りのバッグとなりました。
みなさんもぜひ草木染めを楽しんでみてください!