キハダで草木染めをやってみた

草木染め

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昔から使われていたというキハダで、草木染めをしたいとずっと思っていました。2年ほど前に遊びに行った道の駅で偶然キハダを手に入れたのですが、その後密閉した状態で保管したままでした。2年も経ってしまったので早く使わないといけないなと思い、今回は思い切ってキハダの草木染めをやってみました。

キハダ(黄檗)とは

キハダはミカン科の高木で外側の樹皮を剥がすと黄色い内皮があることからキハダ(黄肌)となったようです。ミカン科だからでしょうか一部のアゲハ蝶が好む木です。

梅雨が明けて、夏の土用の頃からキハダの皮を剥ぐ作業をするそうです。私が買ったのも2年ほど前の6月末頃のものでした。

このキハダは、昔からオウバク(黄柏)という生薬としても用いられ、重宝されています。

はるか昔、1300年ほど前には修行をしていた役行者が疫病の流行によって困っていた者たちのために、キハダの木の皮を煎じて飲むように渡したことがあるという話が残っています。また、江戸時代になると腹痛などに効果があるということで利用されてきました。

染料としてのキハダは見た目の通り黄色に染まるのですが、赤や緑の下染としても使われてきました。紅花の赤い色を引き立てたり、藍と共に染めて緑色にしたという内容も見かけたことがあります。

キハダそのものは無媒染やアルミ媒染で黄色に染めたり、鉄媒染で鶸色(ひわいろ)に染めたりできます。

キハダで草木染めをするには(準備)

必要な材料はこちら

  • キハダの樹皮
  • 染めたい布や糸(今回は木綿糸を一綛(かせ)
  • 手袋(厚めのゴム手袋)※熱いのが苦手な人は軍手をしてからが良いかも
  • 温度計
  • ざる
  • 糸をかける棒(太めの棒)
  • 樹皮を切るためのはさみ(剪定はさみ)
  • バケツ(最低2つ)
  • 菜箸(必要があれば)
  • 媒染剤

たくさんあるように見えますが、染料と染めたいものや媒染剤以外はだいたいいつも同じものを使用するので、1回揃えたらずっと使えます。

染色の手順

キハダの染色は次のような手順で進めます。

キハダの草木染め
  • STEP1
    キハダの樹皮を細かく切る
  • STEP2
    煮出す

    1〜3回分と4〜6回分とで染液を分ける

  • STEP3
    糸を煮染めする(1回目)
  • STEP4
    一晩おく
  • STEP5
    絞って風を入れる
  • STEP6
    媒染液にひたす(1回目)
  • STEP7
    1回さばいて風を入れる
  • STEP8
    媒染液にひたす(2回目)
  • STEP9
    水洗い

  • STEP10
    染液に戻して煮染めする(2回目)
  • STEP11
    水洗いして中干し
  • STEP12
    染液(4〜6回分)に入れて煮染め
  • STEP13
    洗って乾燥

キハダの染液の準備(STEP1-2)

キハダの樹皮は染めたいもののおおよそ半分の量でできます。

まず最初にキハダの樹皮を細かく切ります。細かいほうが黄色が出やすいといいますが、その後濾すことを考えると5mmくらいに切ったら良さそうです。濾すのに使うざるの種類にもよるのですが、あまりに細かくすると木屑がざるの目を通り越えてしまい、うまく濾せませんでした。

次に水を加えて煮出すのですが、バケツを2つ準備します。染液を1〜3回分と4〜6回分に分けるためです。(1〜2回分と3〜4回分でも良かったようです。実際、最後の5回目や6回目はかなり薄い液になりました。)

水を入れて沸騰してから20分火にかけた後、ざるを使って染剤と染汁に分けます。これが1回目です。同じようにして2回目、3回目と染液をつくっていきます。

木綿糸の染色(STEP3-5)

先に木綿糸をお湯に浸してからよくさばいて、風を入れて準備しておきます。

まずは染液をホーローの鍋に入れて火をつけます。今日は自宅のキッチンで行いました。時々カセットコンロを使って屋外ですることもあります。

80℃くらいになったら準備していた糸を浸すところからになります。この時、準備していた棒などに木綿糸を通して染液に浸します。(引越しをしたため棒が見当たりませんでした。今回はとりあえず細い棒状のものに引っ掛けて作業しましたがやりにくいです。めん棒くらいの太さは欲しいところです。)

染液が沸騰したら火を弱めて15分煮染めします。途中で糸を繰り返しながら煮てください。

その後バケツに移して染液に浸しておきます。今回は一晩そのままにしました。(冷えるまで最低2〜3時間は浸けておきます。)最初の30分くらいの間は色むらができないように時々上下を返しました。

絞って糸をさばいてから風を入れます。

蛍光にも見える黄色になった

ここまでで木綿糸はまるで沢庵漬けのような色になりました。蛍光にも見える黄色です。アルミや無媒染をしてから乾かして見ると多少落ち着くかもしれませんが、すごく黄色です。びっくりしました。

媒染(STEP6-9)

今回は鉄媒染でやってみました。時間が経ち過ぎた媒染剤だったからか思った色になりませんでした。鉄なので本当なら鶸色(黄緑)になる予定でした。

鉄媒染の場合は糸の2%のおはぐろか木酢酸鉄をぬるま湯に溶かします。染めた糸を浸して20〜30分媒染します。この時温度が高すぎても低すぎてもきれいな色にならないので、25℃くらいが目安です。

途中で一度糸を絞って、よくさばいてからまた媒染液に浸します。媒染剤も2回に分けて入れたほうが良いみたいなのですが、必ず糸を入れていない状態で媒染剤を溶かしてから糸を入れ直してください。色むらの原因になります。

この後よく水洗いします。

木綿糸の染色(2回目)(STEP10-11)

STEP5まで使っていた染液をもう一度鍋に戻します。最初と同じように80℃くらいまで温めてから糸を戻して、沸騰するまで待ちます。

沸騰したら火を弱くして15分煮染します。

その後すぐに流水で水洗いをして、陽に干して中干しします。

仕上げと乾燥(STEP12-13)

残しておいた4〜6回分の煎汁があると思うので、鍋に入れて温めます。先ほどと同じように80℃くらいになったら中干ししていた糸を入れます。

その後沸騰するまで待ち、沸騰したら再び15分くらい煮染します。

15分くらいたったらすぐに水洗いして陽に干して完全に乾燥します。

キハダで染めた完成品はこちら

うまく媒染できなくて普通のキハダ色になってしまった気がするのですが、これはこれでまた使えそうです。

次回はもう一度媒染剤を作り直してから再度チャレンジしたいと思っています。葉っぱや花と違って樹皮は材料の量が染めたいものの半分で済むので、まだもう数回分のキハダが手元にあります。

重ねて染めたりもしてみたいので、もう少しやり方を確認したいと思います。

キハダの草木染めの魅力

キハダは少し手に入りにくい材料かとは思いますが、昔から使われていた染料の有名どころです。ぜひ一度はやってみてもらえたらと思います。

思った以上に黄色く染まるのでよくある草木染めのように染まらないということはなさそうです。ただ、日光堅牢度は高くないと言われていますので徐々に退色していくと思われます。

対策のためにも一度はしっかりと陽に当てて干して、乾燥もしっかりしてみてください。

草木染めは時間がかかることもありますが難しくはないのでぜひ一度やってみてください!その時々で色味が違うものが出来上がりますので、きっと愛着がわきますよ。